読谷村「北釜」の器の風合い

 例えば、様々な作家が創った沢山の陶器を並べたとする。その中で読谷村「北窯」の作品は一目で知ることが出来るだろう。目印は中央にレイアウトされた丸い輪だ。この輪が読谷村焼きの大きな特徴でありシンボルと言ってもいいだろう。それは萩焼の欠けた高台のようなもので、やちむんブランドのロゴのようなものである。しかし、このシンボルの輪は、深い意味が全くなく、重ね焼きの際に生じる釉薬落ちで出来る輪と言うのだから面白い。ここが沖縄の日用雑器として愛され続けて来たやちむんの味であり、愛嬌なのだ。当然、重ねた時に一番上に積まれた器には、このシンボルの輪は存在しない。この四つ葉のクローバー的作品を、当たりと取るか、はずれと取るかは人それぞれだろうが、読谷村焼きのファンは、この輪を「天使の輪」と賞し愛している。釉薬で美しく化粧された器から顔を覗かせる、沖縄の土の素顔。その表情は使い込むに連れ変化し、持ち主の色に染まって行くのだから、愛着の湧きようは相当のものだろう。

 さらに読谷村のやちむんは分厚くてとても頑丈だ。少々欠けようがそれも風合いとして溶け込ませてしまう寛容さを備えている。南国の日差しに育まれた土は、どこか陽気でくよくよさせてはくれないのだ。だから安心してガシガシ洗うこともできる。「自分はもともと土ですから」と、語りかけてきそうなそんな素朴さが、やちむんの魅力なのだ。


ご購入の前に

 前項でご説明しました「天使の輪」は、やちむんの大きな特徴ですが、やちむんにはその他にも様々な表情があります。同じシリーズでの厚みや大きさ、色合いの違いは、手作りならではの魅力としてご理解いただけると幸いです。
 また、下記のような表情がみられる場合がありますが、これらをやちむんの『風合い』として末永くご愛用いただけますと幸いです。

 ・釉薬のムラやプツプツと噴いた表面。
 ・器の底などにみられる貫入(ヒビ)
 ・中央の「天使の輪」などに付着した黒い微粒子(窯の火で焦げや灰・煤が付着することがあります。)
 ・「天使の輪」の色ムラ(重ね焼きの際に上の器が癒着し、それを剥がす時に生じる跡や窯の中の温度により
  オレンジ色になることがあります。)

 初めてやちむんを手にされる方は驚かれるかもしれませんが、これらはすべてやちむんの『味』として愛されている特徴です。当店では、沖縄のおおらかさを感じさせるこの素朴な表情に惹かれ、本土でも日常の食卓にやちむんをお使いいただけるよう、ご紹介しております。

私の宝物 これぞ土器
去年の春、北窯を訪問した際に與那原工房で出された茶碗に一目惚れをして購入した湯飲茶碗です。手のひらに感じるごつごつとした触感と、縄文式土器を思わせる無骨なデザイン。仕事の合間の一服が随分贅沢な気分になりました。同じ仕様のマグカップあり、それも負けずにもかなりの存在感を放っています。お土産として父に同じ物を買って帰ったのですが、父はこれで毎晩ビールをちびちびやるのが日課になっているようです。あなたもにも、生活に溶け込んでくるお気に入りやちむんがきっと見つかるはずです。じっくりとショッピングをお楽しみください。